Music:  皇室のテーマ

京都御所・一般公開
2000.11.19 歴史倶楽部第41回例会




	秋の京都御所一般公開が今年も11月15日から開催された。歴史倶楽部例会の「明治維新の道」、その一環として公開最終日にみんなで
	見学に来た。寺田屋を見て、黄桜酒造で一杯ゴチになってからほろ酔い気分で御所見学。不謹慎な。




	■京都御所■

	京都市内ほぼ中央にある、東西約700m、南北約1,300mという広大な京都御苑の敷地内中央北寄りに御所はある。京都御所・仙洞御所・
	大宮御所などを包む広い緑地が京都御苑で、御所は南北44m、東西249mの広さを占める。御苑は春夏秋冬、京都市民の憩いの場であり、
	春の桜、初夏の緑、秋の紅葉等の見物客が絶えない。そして数多くの野鳥・昆虫の住みかともなっていて、時期になると双眼鏡・カメラ
	を抱えたBird Watcherで一杯になる。

	京都御所は、桓武天皇により都が京都に遷った794年(延暦13年)に造営された大内裏であるが、平安京の宮城がこの位置にあったわけでは
	ない。平安京の内裏は960年に焼失した。それ以来、動乱と火災天災害時には一時的に京中の公卿邸を借用するようになった。これを「里
	内裏」(仮皇居)といい現在の御所は、南北朝時代北朝の光厳天皇が、元弘元年(1331)に里内裏の1つだった「土御門東洞院殿」を皇居と
	定めたものである。以後、信長、秀吉、家康らがそれぞれ修理、造営を行ったが幾度も焼失し、1788年の大火で完全に類焼。現在の建物
	は総奉行・松平定信によって安政2年(1855)、古制にのっとって再現された。以降、戦乱や火災によって荒廃した大内裏に代わって、事実
	上の内裏として機能し、その後明治2年に明治天皇が首都を東京へ移すまで、天皇の住居として用いられた。

	御所内には、紫宸殿、清涼殿、小御所、御学問所、仙洞御所、常御殿、などがあり、御所の正殿とも言える「紫宸殿」は、即位の大礼な
	ど大儀が行われるところで、檜皮葺、総桧造りの古式ゆたかな建物である。「清涼殿」は、天皇の日常の住居であった処。そのほか、小
	所、御学問所、御常御殿など典雅な建物が並ぶ。仙洞御所は今回の公開のコースには入っていないが、上皇の住居で、寛永7年(1630)小堀
	遠州が後水尾上皇の隠居邸を造営したことに始まり、以後五人の上皇が居住したが、安政元年(1854)に類焼。再興されることはなく、現在
	は庭だけを残している。東西100m、南北200mの長方形域の苑に北池と南池があり、池にはもみじ橋、八ツ橋が架かり、見事な池泉回遊式
	庭園である。
	御苑内には、明治2年の東京遷都までは、宮家や、約200の公家の屋敷もあったが、現在では芝生と玉砂利の広い道に変わり、また公園と
	して市民の憩いの場になっている。春の桜の時期は花見客であふれかえっている。御苑の四方には9つの門(石薬師・清和院・寺町・堺町・
	下立売・蛤・中立売・乾・今出川)があり、それぞれに歴史的物語を秘めている。

	今回の一般公開は、宣秋(ぎしゅう)門から入り、御車寄、月華門、承明門、建礼門、日華門、紫宸殿、清涼殿、小御所、常御殿、を経て
	清所門へと出る順路である。通常、京都御所は春・秋の特別公開期間以外は参観許可が必要。手続きについてはHP最後の項を参照されたし。

 

 



宜秋門

桧皮葺き、切妻屋根の四脚門。宮、摂家その他公卿が参内する時に用いられた。入門前に、門前で持ち物検査を受ける。

 




下左は御車寄(おくるまよせ)。昇殿を許された親王、摂家などの正式な参内の場合のみ昇降する所。
下右は御車寄。大正御大礼のときに設けられたもので、 天皇、皇后のみが昇降する。

 





	諸大夫(しょだいぶ)の間。諸大夫の間は、正式の用向きで参内した者の控えの建物。身分に応じた3つの間が用意されていた。 
	桜の間と鶴の間、虎の間がある。それぞれの間には、原在照筆(諸太夫:桜の間)、狩野永岳筆(殿上人:鶴の間)、岸岱筆(公卿:虎の
	間)らの手になるふすま絵が掛かっている。

 





	月華門は、紫宸殿 (ししんでん)から伸びている丹塗りの回廊の西側にある八脚門。
	日華門と月華門は東西に相対して位置し、ともに瓦葺き丹塗り円柱の唐様の門で紫宸殿への入り口となる。

 

 





	建礼門(けんれいもん)。5月15日に行われる葵祭はこの建礼門が出発地点である。ちなみに春の一般公開は、明治天皇が春先3月に
	五箇条のご誓文を下したのを記念し、秋は桓武天皇の時代、平安京遷都が秋口の10月にあったのを記念して、昭和21年より行われている。
	京都御所の正門で、現在は外国首相などの国賓来訪をはじめ天皇が臨幸されるときに開かれる。

 





	承明門(じょうめいもん)。紫宸殿の南正面に位置する門。瓦葺、切妻屋根の12脚門。天皇行幸や上皇御即位後の出入りに用いられる。
	左は承明門から見た紫宸殿。

 




建春門(けんしゅんもん) 。京都御所の東端に位置し、前はだだ広い広場である。この広場で蹴鞠をやっていた。

 





	小御所(こごしょ) 。御元服御殿ともいい、東宮御元服、立太子の儀式など皇太子の儀式が行われた所。明治維新の有名な「小御所会議」
	はここで行われ、「王政復古の大号令」がここで発声された。小御所は平安内裏にはなかったが、源頼朝の世子の呼称であったものを
	1251年の再建時に採り入れて造営され、書院造りと寝殿造りの融合した建物となっている。

 

 





紫宸殿

	紫宸殿は即位の礼や節会などの儀式が行われた、御所の中でもっとも格の高い正殿である。明治天皇、大正天皇、昭和天皇の即位の儀式
	もここで執り行われた。1855年再建。入母屋檜皮葺き、総檜造りの高床式純木造神殿造り。紫宸殿(ししんでん)の東には左近(さこん)の
	桜(さくら)、西には右近(うこん)の橘(たちばな)が配されている。

	日本書紀によると、第11代垂仁天皇の御代、ある時タジマモリは、天皇から「常世の国から橘(たちばな:みかん)をもってくるよう」指示
	をうけて、苦難の末やっと常世の国(現在の韓国済州島とみられている。)から帰ってくるが、タジマモリを迎えたものは天皇の死であ
	った。その悲しみのあまりタジマモリは天皇陵の側で死んでしまう。人々は、これを悼み、天皇陵の側に橘の木を植えたという。
	この故事から、御所には「右近の橘(うこんのたちばな)」が植えられる様になったと言われている。現在でも垂仁天皇陵の側に、タジマ
	モリのみかんが植えられている。
	【タジマモリ: 4−5世紀頃来日か。田道間守(たじまもり)あるいは多遅摩毛理(たじまもり)。名の通り、但馬(たじま)の国あた
	りの実力者であったといわれる。】




	これら左右の木は、ひな祭りのひな壇のお内裏(だいり)様とお雛(ひな)様の横に配置される飾り木のモデルとなっている。 
	正面中央には、幕末の書博、岡本保孝氏による扁額が掲げられている。

 




	清涼殿 。中殿ともいう。平安朝では、天皇の日常の住居として使われていた。正面中央には御帳台を置き、休息に用いられたようである。
	向かって右が寝室となっている。紫宸殿と同じ入母屋檜皮葺きで、床が低く間仕切りの多い複雑な構造の建物だ。右手には呉竹(くれたけ)
	が植わっている。

 




蹴鞠(けまり)の庭。小御所と御学問所の囲まれた場所のある砂利の広場。通常はここで蹴鞠が行われるようだ。

 




下右は檜皮葺き(ひかわふき) 屋根の実物模型。屋根の断面がよくわかる。

 

宮中で使われる品々も展示してあった。

 

 

上下は春興殿(しゅんこうでん)。御大礼の時、臨時の場所となって後位継承のしるし三種の神器のうちの「御鏡」を奉安する所だった。






蹴鞠(けまり)実演



あっちゃこっちゃに飛んでいき、なかなかラリーが続かない。やはり俄貴族ではうまくいかないのだろう。

 

選手交代に控える貴族達と、このおねぇちゃんは何の役かよくわからなかった。採点係かな。

 




御池庭(おいけにわ) 。小御所の前にある回遊式庭園。水面に映る庭園の姿が美しく、立ち止まって見物する観光客で一杯だ。






欅橋(けやきばし) 内裏の池には数々の橋がかかっているが、この欅橋が代表的なもの。








歩く河原さんと松田さん。学問所は補修作業中だった(下右)。

 



	帰り道の途中にある御三間(おみま)(宮中御内儀の行事が行われた場所)で、特別公開期間のみ生け花の展示が行われていた。
	「月輪未生流」とか書かれていた大がかりな生け花だった。写真撮ったつもりだったけど、どこかへ消えた。

蛤(はまぐり)御門



 


	蛤御門。江戸時代末期の元治元年(1864年)、この門の周辺で長州藩と御所の護衛に当たっていた会津・薩摩藩との間で激戦が行われ
	ました。この闘いが「蛤御門の変」(禁門の変)で、門の扉にはその時の鉄砲の玉跡が残っています。この門は新在家門と言われてい
	ましたが、宝永の大火(1708年)のさい、それまで閉ざされていた門がはじめて開かれたため、「焼けて口開く蛤」にたとえられ蛤御
	門と呼ばれるようになったと言われています。(上記看板の内容)

 



以下は当日配布の宮内庁資料から(冒頭の一般公開案内も)。宮内庁のHPにも同じものがある。






		【京都御所】
		 所在地: 地下鉄今出川駅下車すぐ (徒歩5分)
		 公開時期: 春と秋(平成12年は9:00-15:00。例年この時間帯のようである。)
		 ※以下の、宮内庁所定の書式で事前に申し込めば、一般公開以外の時期でも参観できる。
		 参観料金: 無料 





京都御所への拝観手続きについて(宮内庁)


		参観日の前日までに、直接事務所にて申し込み用紙に書き込むか(身分証明書が必要)、
		往復ハガキで申し込んでください。参観予定人数が多い時には、希望の参観日時でない場合もあります。  

京都御所                
人数             個人参観 1名〜9名  、  団体参観 10名〜200名
参加資格 原則として 1)成年者 2)未成年者は成年者の同伴が必要
参観取扱日 月曜日〜金曜日までの毎日(ただし、休日・行事などの支障のある日を除く。詳細は電話にて確認。)
申込先 宮内庁京都事務所参観係 〒602-8611(住所不要)  電話 075-211-1215
申込方法 窓口・・・宮内庁京都事務所参観係に備付けの用紙を使用。身分証明書等が必要。

郵送・・・往復ハガキを使用。詳細は電話で確認してください。
受付時間 郵送の場合・・・参観希望日の3ケ月前の月の1日から希望日の1ケ月前までの消印のあるもの。
窓口の場合・・・参観希望日の3ケ月前の月の1日から希望日の前日まで。
          定員になり次第締め切り。受付時間:8時45分〜12時、13時〜16時。
(例) 参観希望日が5月31日の場合、受付期間は2月1日から4月30日の間となります。
			参考 : 宮内庁長官官房総務課
			〒100-8111 千代田区千代田1−1 電話 03-3213-1111(代) 
			ホームページ: http://www.kunaicho.go.jp/(宮内庁)  





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