大阪の毎日放送では、平成3年7月以来「近畿は美しく」のキャンペーンを実施している。「近畿」をテーマとしたTV・ ラジオの番組製作や、写真コンテストや近畿一円で行われている各種催し物の主催/後援などを引き受け、「近畿」のイメ ージアップ作戦を展開している。以下はその謳い文句。 近畿は古い歴史に育まれた奥深い文化の息つく土地柄であり、日本人の心の故郷です。四季の美しい自然に恵まれ温和な気 候のもとに生活し易い諸条件を整え、人々の温もりも深く感じられます。「近畿は美しく」は、この近畿をあらためて見つ め直し、その美点や優れたもの、人々の営みや交わりを紹介し、21世紀に引き継いでいこうとするものです。 この歴史講座もそれらのキャンペーンの一環として実施されており、全5回の予定で今回は2回目である。奈良大学学長の 水野正好氏が今回の講演者だが、氏は大学を出て、文化財保護の行政側担当者として始めて滋賀県に勤めたが、彼によれば 「そのとき滋賀県には私を含めて考古学者は3人しかいませんでした。」という。滋賀県野須町の大型銅鐸を、文化庁と争 って滋賀県に残すことに成功したことで有名だが、近畿歴史界のスポークスマンとしても有名で、口の悪い輩は、「歴史界 のほらふき男爵」などとも呼ぶ。
相変わらず、本州すべてが女王国で邪馬台国は大和の三輪にあった、と力説していたが、講演会などは紐の形の 分類などを聞いても一般の歴史ファンには退屈なだけだ。実際この講演会では若者達もヤンヤと拍手で相づちを 打ったりしていた。新たな歴史・考古学ファンが増えたかもしれない。
水野 正好 奈良大学ホームページより転載 -------------------------------------------------------------------------------- ■プロフィール 1934年大阪市生まれ。大阪学芸大学卒業。 滋賀県教育委員会文化財保護課技師、大阪府教育委員会文化財保護課を経て、文化庁記念物保護調査官。 その後、奈良大学文学部長、学長(2期6年)を経て、現在大学学部、大学院修士、博士課程担当教授。 ■研究概要 日本宗教考古学を中心に据えている。時代を問わず場を問わず、人の心性にかかわる遺跡・遺物を史料に 掛け合わせて、楽しくそれぞれの場の宗教を復原しようとしている。 縄文時代の集落と宗教、弥生時代の青銅器祭祀、古墳時代の王権継承など、いろいろな諸問首をつっこん で楽しんでいます。まじないの考古学や多聞院日記の考古学など次々と視野が広がっていく今日このごろです。 ■主な業績・著書 角川書店 『日本文明史・島国の原像』 講談社 『日本原始美術体系・埴輪』 講談社 『日本原始美術体系・土偶』 吉川弘文館『古代を考える・河内飛鳥』 吉川弘文館『古代を考える・近江』 など ■担当授業 文化財学研究法(1回生) 考古学特殊講義(3、4回生) 考古学概論 (1〜4回生) 考古学演習 (3、4回生) 世界遺産学演習(3、4回生) ■学外の姿 ・一ヶ所でも多く、一人でも多くの方に考古学や文化財学の醍醐味、面白さ、楽しさを伝えたいばかりに老体 に鞭をうって休日なしで講義に走り回っています。 ・大阪府、大阪市環境影響評価委員、奈良県古都審議会の委員として役立つよう心 がけ会議に出席してい ます。 ・大阪府文化財調査研究センター理事長としてこの不況の中の財団の舵取りとしています。 ・週3回は古本屋をめぐり、古本屋であった学生には「丸福」でお茶をご馳走しています。時おり酒井先生と遭 遇し、天王寺へ遊学しています。 ■担当ゼミ 考古学・水野ゼミ 世界遺産文化財学・水野ゼミ