Music: Night








			2.コンピュータとは何か?
			
			私が20年ほど前に教員に誘われたコンピュータ専門学校では、以下のような講座を1年間やっていた。


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			情報処理概論 講義資料
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			【コンピュータの歴史】
				バベジ
				ABC
				エニグマ
				Colossus
				ENIAC
				The Baby
				EDSAC
				最初のコンピュータ
				コンピュータの歴史
			【コンピュータの概念】
				情報量 
				平均情報量/エントロピー
				単位
				コンピュータの構成
			【ハードウェア】
				CPU のビット数
				ハードディスク
				ハードディスク技術の進歩
				フロッピーディスクドライブ
				CD-ROM ドライブ
				ファイルの管理 
				マウス
				ディスプレイ (走査)(色の表示)
				ドットインパクトプリンター 
				アウトラインフォント と ドットフォント
				アウトラインフォント 
				ドットフォント 
			【コンピュータの原理】 (2進数・デジタル)    
				5進数 	2進数 10進数から2進数への変換 2進数から10進数への変換
				符号つき2進数	2進数の加減算 
				キャラクターコード JIS 漢字コード  JIS 漢字コード表  シフト JIS 漢字コード 
				16進数
				アナログとデジタル 
				パルス符号変調 (PCM) 
				信号圧縮 (ランレングス法)
			【コンピュータの原理】 (半導体)
				半導体 ダイオード トランジスタ 
				基本論理回路 
				論理回路の組み合わせ 
				半加算器 
				スイッチ(リレー)による半加算器
				半加算器 (NAND 構成) 
				記憶回路
				DRAM  SRAM 
			【ソフトウェア】 (プログラミング言語)
				アセンブラ プログラミング 
				仮想コンピュータの使い方
				アセンブラ仕様  命令セット 命令
				プログラム例
				アセンブラ言語  (プログラム例)
				命令表
				プログラムを作る (1) お絵かきソフトの基礎
				プログラムを作る (1) 「らくがきボード」
				プログラムを作る (2) ゲームソフト
			【ソフトウェア】 (プログラムの種類)
			【ソフトウェア】 (人工知能)
			【コンピュータネットワーク】 (垂直型ネットワーク)
				オンラインリアルタイム処理 と TSS
			【コンピュータネットワーク】 (水平型ネットワーク)
				イーサネット
				トークンリング 
				ホストコンピュータ数の推移
				世界に広がるネットワーク
			【データ通信回線】
				携帯電話の普及
			【マルチメディア】
				インターレース走査 と プログレッシブ走査 
				CD 
			【コンピュータセキュリティ】
				シーザー暗号   暗号解読  電子透かし
			【人工知能の歴史と概略】
				AI概論 詳論
			【コンピュータの未来とロボット】 鉄腕アトムの実現
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			結局この学校の教員になる話は、待遇面で折り合いが付かず実現しなかった。まぁ、上記を全部こなせばいっぱし
			のコンピュータ・オタクになれるが、ここのHPでのテーマ、「コンピュータによる記紀分析」のための予備知識
			という意味では、以下の部分が理解できればいいと思う。



			(1).コンピュータの構成


		
			 コンピュータは制御装置、演算装置、主記憶装置、補助記憶装置、入力装置、出力装置 で構成されている。これ
			はPCも大型も一緒である。コンピュータの心臓部は中央処理装置 (CPU) になる。中央処理装置は制御装置と演算
			装置から成っている。主記憶装置はプログラムやデータを記憶し、CPU の求めに応じて素早くデーを送ったり CPU 
			から返された処理結果を記憶して、コンピュータの働きの中心となる メモリーである。大型コンピュータが中心で
			あった頃の習慣で、 CPU と主記憶装置をコンピュータ本体といい、入力装置、出力装置、補助記憶装置はコンピュ
			ータ本体の周辺に設置されていたことから、周辺装置 (peripheral equipment) という。
			以下はPCにおける構成図であるが、本体のカバーを開けてこれらの機器群を見た人は多いと思う。 大型コンピュ
			ターも同じような機器がならんでいるが、もっと大型でもっと容量が多い。実際の大型コンピュータはこの他にも、

			<算術論理演算装置ALU(エ-エルユ-と読む)>
			 ・10進数演算機構
			 ・固定少数点演算機構
		 	・浮動小数点演算機構    や
			<レジスタ>
			 ・命令アドレスレジスタ
			 ・命令レジスタ
		 	・指標レジスタ
		 	・基底アドレスレジスタ
		 	・メモリアドレスレジスタ
		 	・汎用レジスタ       や

			アキュムレータ、デコーダ、エンコーダ、などと言う機器が付随していて、様々な部分演算や補正をしたりしてい
			るが、そのあたりはPCにはない。(一部あるが見えない。)











		
			(2).コンピュータの原理

			コンピュータは基本的には、プログラムとデータを、制御装置とCPUが処理していく道具である。その過程で、
			PCでは途中でキーインを求められたり、アイコンをクリックする事を求められたりする。処理結果は瞬時にディ
			スプレィや内部のハードディスクに書き込まれていくので、USERはCPUがどの命令を実行しているのかなど
			は勿論分からないし、そういう事は分からなくていいように造られている。
			コンピュータの内部では稼働中のプログラムは、メモリー内に常駐しており、PCでも絶えず複数のプログラムが
			メモリーにあるが、ある瞬間瞬間をとってみると、実行されている命令はただ一つである。(最近、複数のCPU
			(中央演算処理装置)を内蔵して、同時に幾つもの命令をこなすコンピュータがあるが、これはCPUをマルチで
			内蔵しているからで、基本的に1CPUは1命令しか処理できない。)
			プログラムの命令1個を1ステップと呼ぶが、通常プログラムは数千、数万、時には数百万のステップから成り立
			っているが、常に、1瞬間に実行されている命令は1ステップのみなのだ。excel の1ステップを実行した次の瞬
			間にはペイントの1スッテプを実行しているかもしれない。命令の1ステップ1ステップは、何億分の1秒という
			超高速で処理されていくため、USERにはどのプログラムも併行してスムーズに処理されているように見えるだ
			けなのである。


			


			(3).プログラムとデータ

			現代のコンピュータは、プログラムが無ければ動かない。PCでも大型コンピユータでも全てプログラムで動いて
			いる。現代のような方式は、フォン・ノイマンという人が考え出したので、「ノイマン方式」とか「ノイマン型」
			とかよばれる。それに代わる色々なコンピュータが試作中であるが、まだ当分の間、この方式はコンピュータ処理
			の基本となるだろう。では、プログラムとはなにか?  一言で言えば「処理の手順」つまり「仕事の段取り」であ
			る。基本的にコンピュータが行うことは人間も出来る。ただ時間と正確さがダントツに違う。複雑な計算や膨大な
			データの処理などは、単純な機械であるコンピュータの一番得意な分野である。


			


			上のようなプログラムがあるとしよう。給与計算を簡単にしたものだが、これをコンピュータ内で処理させると以
			下のような動きになる。


			

			上の手順の、例えばDにおいて、計算した結果が割り切れなくて小数点以下が発生する、あるいは何らかの計算で
			余りが残るというような事があったとする。勿論今の計算上ではそんな場合もすべて決まった手順があるので、そ
			のあたりもプログラムに組み込まれており、あり得ない話なのだが、仮にあったとして、プログラマーがその端数
			やあまりを自分の架空名義の口座へ振り込むようなステップを2,3行プログラムに組み込むと、そのプログラマ
			ーは1年もすれば年収分くらい稼げることになる。プログラムの中身を見ない限り、会社にも社員達にも一切わか
			らない。昔アメリカのどっかの銀行で実際にあった事件である。

			つまりコンピュータは、プログラムが正しくなければ正しい答えがでないのである。勿論データもだ。プログラム
			が正しくてもデータが誤っていれば、当然正しい答えはでてこない。今日、コンピュタ−はあらゆる局面で使用さ
			れており、これが無ければ日常生活もままならないほどに社会の隅々にまで浸透している。かって、アポロ11号
			が月面着陸するときに、3台のコンピュータが同じ計算を違った角度からし続けて、その結果が異なり、2:1の
			コンピュータ多数決で月面に着陸したのは有名な話であるが、ことほどさ様に、コンピュータではプログラムが命
			なのである。

			歴史のHPの中になんでコンピュータ講座なんか? と思われた方もいらっしゃるかもしれない。ここで言いたか
			ったことは、見て頂いたように、PCとはシリコンと鉄のかたまりで、使うのはUSER次第だという事。即ち、
			「コンピュータではプログラムが命」
			というのが最重要事項なのだ。本編へ戻って見て貰う、コンピュータの「文献学や歴史学への応用」において、ど
			のようなプログラムでその結論を導き出しているのか、どんなデータを使っているのか、そのプログラムは正しい
			のか? という眼をもって見て頂きたい、というのがここでの結論である。










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