岡先生個展を訪ねて 2008.7.21




	お盆には帰れるかどうか分からないので、7月の連休に帰省した。親父は寝たきりで死にかけているが、そういう状態になってもう
	2,3年になるし、話しかけた後少しは私の事も分かるようで、冗談も言って来たりするのでとりあえずは安心だが、しかし弱って
	いく親を見るのはつらい。やがて俺もこうなるのだ、と思うとよけいにツラい。




	友人達と飲んだり幾つか予定をこなしたが、今回は青沼先生を秋月へ招待するつもりだった。しかし先生達はもう何回も秋月へは行
	っているようで、あまり乗り気ではなさそうだったので、福岡県立美術館で行われている「岡桑玄個展&社中展」という書道展にご
	招待した。実はwifeはこの社中同人で、中学生の頃からこの岡桑玄先生について書道を学んでいる。しかし結婚して大阪へ来てしま
	ったので、練習には勿論参加できず、展示会にも数年に一度くらい出展しているに過ぎない。実は今回の帰省も、wifeがここに久し
	ぶり出展したので、それにかこつけてという理由もあるのだ。

	そんなわけで、wifeの字はともかく、岡桑玄先生の字を青沼先生に見せたら面白いかもしれないと考えた。私は書は皆目分からない
	が、しかし書かれた「勢い」や「動き」や「力」などは感じる。うまい「書」なのかどうかはわからないが、全体を一つの「画」と
	して見た場合の「書」の出来具合は分かるような気がする。特に、岡先生の書は「書」と言うよりも「画」にちかいと思うので、洋
	画家の青沼先生が岡先生の「書」を見てどういう感想をもたれるのか非常に興味があった。


福岡県立美術館

























岡先生の書を眺める小柳さんと青沼先生。



これ以降数枚の書は全て「燃」という字である。









この字などはまさしく「燃」えているようだ。



「燃」という字のオンパレード。



これは「山」だったかな?



送「裴将軍」碑。

 	裴将軍碑は顔真卿(がんしんけい)の書と言われているが、いつ頃の作かは不明である。北伐で猛勇をふるった裴旻(はいびん)
	将軍の出征に際し、送った詩であると言われている。その書は1つの作品の中に楷書・草書・行書の三体の外、篆書(てんしょ)
	の筆法も交え、狂草もあるなど様々な書体を含み、俗に破体と言われる。また、大小・太細・長短の変化も取り混ぜて、千変万
	化の姿態をみせているにもかかわらず、見事な調和をみせている。

	「裴将軍。大君六合を制し、猛将九垓に清し。戦馬龍虎の如し。・・・」



岡先生が青沼先生達にこの「書」を書いたときの意図や手法を説明している。






	馬王堆漢墓帛書

	 一九七二年四月、中国湖南省長沙市の東郊外約四kmの地点・馬王堆の台地より発掘された二一〇〇年以上昔の未腐乱女性屍体は、
	当時その奇跡が世界に与えた衝撃とともに今も我々の記憶に新しい。そして翌一九七三年十二月、第一号・二号に続き発掘された
	第三号漢墓より出土した二四種に上る多量の帛書・木竹簡等の古文献は、その後の古代中国史研究に計り知れぬほどの貴重な資料
	を斯界に提供することとなった。かつそれらの少なからぬ部分が医学関係文献であったことは、伝承文献では漢代はおろか六朝時
	代すら正確に遡ることが極めて困難であった中国医学の史的研究にとって、まさしく驚異的出来事であった。 
	 一九七五年以降、中国ではいくつかの雑誌や書物にそれらの部分的写真や釈文・論考等が発表され、またわが国でも中国発表資
	料に基づく研究がなされてきたが、公開された写真は一部に限られていたため隔靴掻痒の感はどうしても否めなかった。しかし全
	書の出版により全出土医学文献が影印され、今その全貌が我々にもようやく明らかにされたのである。
	<真柳誠「書評『馬王堆漢墓帛書〔肆〕』」『日本医史学雑誌』33巻2号272-274頁、1987>





この十二支はまるで象形文字だ。



私の「寅」はなんか普通の字だった。吠えている「虎」にしてほしかったなぁ。



「阿吽」



上はwifeの友人の長女が書いたもの。私は本人には会ったことはないが、友人の方は良く知っている。



これは「静」と皿に書いた「燃」



これは、なんだっけ。「雪女」だ! いかにも「雪女」のような字だ。



私はこの「酒」が気に入った。縄文土器に入っているような感じがした。



「寂月」と「影」



説明してくれる岡先生。青沼先生の心にはこういう書はどう響くのだろうか。

















筑紫野の「山灯家」(さんとうか)という料理屋さんでお昼ご飯。



ここの鶏肉は秋月の「古処鶏」(こしょけい:古処山の麓で育った地鶏)を使っているので、秋月に来たのだとも言える。








	一人だけビールを飲んで酔っぱらったので、青沼先生に岡先生の「書」の感想を聞くのを忘れてしまった。或いは聞いたかも
	知れないがまるで記憶にない。先生、今度帰ったら是非感想を聞かせてください。お世話になりました。