Music: 月河




	
	会社で契約している英会話トレーニング会社が発行する雑誌に次のような記事があった。「現在世界で使用されている言語
	のうち主要なものは何だろう?185の国連加盟国のうち、英語圏が60ケ国、フランス語が34ケ国、アラビア語が24
	ケ国、スペイン語が22ケ国、ロシア語が10ケ国となっている。(外務省編集協力「世界の国一覧表99年版)また、世界
	にどのくらいの数の言語があるかというと、アメリカ大陸に630、アジアに1251、オセアニアに1329、アフリカ
	に1475、EU15ケ国に33、ヨ−ロッパ大陸全体で65言語存在すると言われる。」
	

	ことほど左様に、世界中に言語の数はごまんとあり、英語を喋る国はなんと60ケ国もあるのである。なぜ日本語は日本で
	だけしか通用しないのだろうか? 韓国語しかり、中国語も同様。一体「言語」なるものはいかなる発生経路を持っている
	のか? 言葉はいかにして発明されたのか?

	古代、日本が渡来系の人々によって急速に文明化していったのは間違いない事実である。



	

	稲作や金属器の使用は縄文時代には見られず、弥生時代から古墳時代にかけて日本中に広まってゆく。稲作は縄文末期に北
	九州地方には既に渡来していたが、これとて北からか南からかはさておき、やはり渡来の賜である。北九州や山陰地方各地
	に残る弥生遺跡には、それが渡来人の残したものである事をうかがわせる証拠が数多くあり、古墳に至ってはその殆どが大
	陸・朝鮮半島からの人々が残したものであろうと推測できる。
	また人口の研究からも、縄文末期から弥生にかけて夥しい人口増加が日本列島で発生した事が推定されている。まるで日本
	は渡来人達が造った国であるかのごとき人口増加なのである。実際、現代の韓国人たちの多くはそう思っているそうである。
	日本は古代朝鮮人達が造った国であると。ある意味ではそれは正しい。しかし又ある意味では正しくない。韓国ではある大
	学教授が、古代(弥生末期から古墳時代にかけて)の日本人の人口比率は8割が朝鮮人で、縄文以来の純日本人(?)は2
	割であった、という説を発表してベストセラーになったという。大学教授でもそういう認識なのである。

	確かに、朝鮮人・中国人を中心とする渡来人達が日本の文明化に果たした役割は大きい。馬と武器を携えて日本列島へ渡っ
	てきた渡来人達の中から、日本を統一した一団がいた可能性は大いにある。それは朝鮮ではなく、はるか北方の騎馬民族で
	あった可能性も否定しきれない。しかしながら、だからといってそれらの一群に日本民族が征服・支配されてしまったのか
	というと、それは疑問である。
	むしろ、渡来人達は日本民族の中にとけ込んだのである。縄文時代から、弥生時代を経て古墳時代に至っても、渡来してき
	た人々は縄文以前からの日本社会に融合していったと見る方が正しい。その最大の証拠は「日本語」である。
	 なぜ今、日本人は日本語を話しているのか?

	朝鮮人が8割も居たのなら当然人々は朝鮮語で意志の疎通を図ったはずであるし、今我々は韓国語を話していてもよさそう
	なものだが現実はそうなっていない。つまり、渡来人達が日本語を覚えて日本人になっていったと見るべきである。勿論、
	現代の日本語のなかに韓国語と同じ言葉は残っているが、それはカステラやチャンポンなど明治以来の欧米語がすっかり日
	本語として定着しているのと同じである。
	近年、韓国語が日本語のルーツであるという書物が日本でも出版されベストセラーになった。「万葉集は韓国語で読める」
	とかはその走りである。しかし専門の言語学者達によれば、これは全くの思いつき本の域を出ていない。日本語体系はそん
	な単純なもうのではないと言う。





	実は、この謎、「なぜ今日本人は日本語を話しているのか?」を追求すべく、この半年日本語関係の本を読みあさっている。
	しかし一向に考えがまとまらない。読めば読むほどわからなくなってくる。日本語の起源、これ又「邪馬台国問題」同様学
	者によって千差万別の意見がある。北方から来た、いや南方からだ。北と南の混合言語である。日本語のオリジナルは韓国
	語にある、いや中国語である。
	どの言語の体系にも属さない特殊な言語である、等々。日本語の研究は、今なお多くの研究者達によってその分析が行われ
	ており市井の研究者も大勢いる。その研究内容は多岐に渡っており、とても一介の歴史マニアがにわかに全貌を把握できる
	ようなものではない。

	そこで誠に不本意ながら、このホームページはしばらく製作を中断したい。この「謎」を自分なりに解き明かすにはもっと
	もっと多くの時間が必要だと痛感している。したがって、ここは問題提起のみに留めて、しばらくこのままにしておきたい。
	何時の日か、完成に到達する事を願いながら、また、予告して期待していただいた方々には誠に申し訳ないが、一旦休筆と
	したい。  平成12年8月19日。


邪馬台国大研究・ホームページ /古代史の謎/ なぜ日本人は日本語を話す