Sound: a Taste of Honney

奈良県立橿原考古学研究所 「大和を掘る 23」展 2005.8.27 




	我が歴史倶楽部では、数年前の8月に太子町を散策して散々な目にあったので、これにこりて8月には例会を行わない事に
	している。しかし1ケ月の間があくのは寂しい人たちもいて、歩き回らないですむ講演会や展覧会があれば、有志で行くこ
	ともある。今年は、橿原考古学研究所(橿考研)の附属博物館で、2004年度の発掘調査速報展「大和を掘る23」が、
	7月16日から8月28日までの会期で開催されていると知ったので、8月最終土曜に行くことにしたが、会期終了の一日
	前だった。



二光廃寺/せん仏


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	[大和を掘る・23』―2004年度発掘調査速報展― ]  2005年7月16日(土)〜8月28日(日)電話:0744-24-1185

	【主催】  : 奈良県立橿原考古学研究所附属博物館 特別展示室 〒634−0065 奈良県橿原市畝傍町50−2
	【協力】  : 県内各市町村教育委員会、(財)元興寺文化財研究所 
	【交通】  : 近鉄橿原線 畝傍御陵前駅 下車徒歩5分/ 近鉄南大阪線 橿原神宮前駅 下車徒歩15分
			国道24号線四条交差点から南へ1km左折可の交差点を左折、右カーブに沿って300m行った右手側。
			(駐車場36台+大型4台・駐車無料)
	【開館時間】: 9:00〜17:00(入館は16:30まで) 
	【休館日】 :  月曜日(月曜日が祝日の場合はその翌日も休館)、祝日、年末年始(特別展開催中は開館)、
		        年末年始(12月28日〜1月4日) 
	【入館料】 : 大人 400円(300円) / 学生(大・高校生)300円(250円)/小人(中・小学生)200円(150円) 
			( )は20名以上の団体料金 	※小学生未満、土曜日の小中養高校生は無料 
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	速報展「大和を掘る」は、大和地方の直近の1年間の発掘調査で出土した資料を、広く一般に公開することを目的に、地
	方の博物館としては全国に先駆けて、この博物館が第一回速報展を昭和56年に企画した。以来、毎年開催されて今年は
	23回目になる。「大和を掘る」展は、橿考研による発掘調査ばかりでなく、奈良県内市町村等の協力も得て、だいたい
	前年度の県内遺跡の発掘調査資料を集めた速報展として、例年夏に開催実施されている。
	その後この方式は全国の地方発掘調査機関や博物館でも行われるようになったが、橿考研は発掘調査機関とその展示公開
	施設である博物館を併せ持っているので、その点ではそうでない他機関に比べてきわめて有利と言う特性をもっている。
	その特性を活かした企画展は、県内外から高く評価され、夏の発掘展示会として定着していると言えそうだ。
	今回も、おもに2004年度に発掘調査された遺跡のなかから39遺跡が選ばれ、その出土遺物や調査パネルが展示されている。
	全国でも奈良県は、最も発掘調査が行われている県として著名だが、最新の発掘調査の成果が多くの人々に実際に見学さ
	れ、考古学や歴史学に対する理解が深まるのはすこぶる有益だろう。特に今回は、個人的に現地説明会に足を運んだいく
	つかの遺跡、二光廃寺や観覚寺遺跡、島庄遺跡や唐古・鍵遺跡などの遺物も展示されているので楽しみだった。






	出品遺跡のご案内 
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	縄文〜奈良まで・柳生街道の不思議な誓多林 ・・・天釣山遺跡(奈良市) 
	城川水系の縄文集落? ・・・古寺タムロ遺跡(北葛城郡広陵町) 
	縄文土器がいっぱいいっぱい! ・・・伏見遺跡(御所市) 
	本年度で100次到達 ・・・唐古・鍵遺跡(磯城郡田原本町) 
	弥生人お気に入り・矢田丘陵からの絶景眺望 ・・・小泉遺跡(大和郡山市) 
	弥生時代の周溝墓 ・・・曲川遺跡(橿原市) 
	大溝掘りは力を合わせて−環濠帯の発見− ・・・坪井・大福遺跡(橿原市) 
	大和高原で古墳時代中期の集落と古墳発見 ・・・横田矢田野遺跡(奈良市) 
	紀路に面した古代の一等地 ・・・薩摩遺跡(高市郡高取町) 
	前方部を巡る濠状区画 ・・・マバカ古墳隣接地(天理市) 
	古墳の形状解明に一歩前進 ・・・島の山古墳(磯城郡川西町) 
	木棺の一部が見つかる ・・・かん山古墳(大和高田市) 
	和歌山県境付近、二つの主体部をもつ円墳 ・・・釜窪大谷東原古墳(五條市) 
	石敷きの祭祀場に犇く土師器と臼玉と鉄器 ・・・・西河内堂田遺跡(五條市) 
	眺め抜群!緑に包まれた快適空間 ・・・極楽寺ヒビキ遺跡(御所市) 
	葛城南端に造られた前面貼石の古墳 ・・・ドンド垣内古墳群(御所市) 
	水田の下から大型群集墳が出現 ・・・和爾遺跡(天理市) 
	やはり、東漢氏の本拠地か ・・・観覚寺遺跡(高市郡高取町) 
	飛鳥時代の石敷と中世遺構 ・・・ホラント遺跡(高市郡高取町) 
	建物配置は左右対称から非対称へ ・・・観覚寺遺跡(高市郡高取町) 
	嶋大臣は見えたのか? ・・・島庄遺跡(高市郡明日香村) 
	飛鳥の六角形墳 ・・・マルコ山古墳(高市郡明日香村) 
	平城遷都を支えた中ツ道と穂積親王宮 ・・・藤原京左京一・二条四坊(橿原市) 
	藤原京の宅地と召文木簡 ・・・四条遺跡(橿原市) 
	法隆寺論争に終止符は打たれたか!! ・・・法隆寺若草伽藍跡(生駒郡斑鳩町) 
	新発見の古代寺院とそのせん仏 ・・・二光寺廃寺(御所市) 
	平城宮大極殿の鬼瓦がなぜここに? ・・・片岡王寺跡(北葛城郡王寺町) 
	平城京の道路交差点と橋 ・・・平城京左京五条五坊・東四坊大路(奈良市) 
	宅地は東堀河サイド ・・・平城京左京四条三坊九坪(東堀河)(奈良市) 
	鑑真和上も見たかった「天平の甍」 ・・・唐招提寺金堂(奈良市) 
	悩み多き葛下郡衙? 人面墨書土器に籠めるその思い。 ・・・下田東遺跡(香芝市) 
	最古のロストル式平窯か ・・・居伝瓜山瓦窯(五條市) 
	杣(そま)地に営まれた製鉄遺跡 ・・・大西塚ノ本遺跡(山辺郡山添村) 
	大和川の河畔にあった古代から中世の集落 ・・・下永東方遺跡(磯城郡川西町) 
	高山右近ゆかりの中世山城を調査中 ・・・沢城跡(宇陀郡榛原町) 
	宗教都市遺跡多武峰を構成する小集落の調査 ・・・多武峰遺跡群−西口遺跡−(桜井市) 
	水銀鉱床採掘のムラ ・・・多武峰遺跡群 −針道遺跡−(桜井市) 
	本堂再建時期の伝承を発掘が裏付けた ・・・吉祥草寺本堂(御所市) 
	中世下田鋳物師の足跡 ・・・下田遺跡(香芝市) 

	以上39遺跡の出土資料及び写真パネルを展示中 



  (*)尚、これら展示物が出土した遺跡のうち幾つかは、「遺跡旧跡めぐり」の中の「現地説明会」コーナー、および「歴史
	 倶楽部HP」の例会案内の中にある。

	<唐古・鍵遺跡(磯城郡田原本町) 、薩摩遺跡(高市郡高取町) 、極楽寺ヒビキ遺跡(御所市)、観覚寺遺跡
	(高市郡高取町) 、観覚寺遺跡(高市郡高取町)、島庄遺跡(高市郡明日香村)、二光寺廃寺(御所市)>













 







 

 

 

 

 

 









 








常設展示



	この博物館の常設展示はすでにこのHPで紹介しているので、掲載済みと思われる写真はカットしたつもりだが、いくら
	か重複しているものもあるかもしれない。

 


	<狩人の時代> 人類の登場

	三郷町勢野峯ノ阪遺跡下層石器群は、炭素同位体(14C)による年代測定法によって2万5千年前の石器であることが
	わかった。礫を分割して石核の素材とする技術は、この時期の日本列島に秘匿発見されているが、近畿ではさらに発展し
	て、瀬戸内技法と呼ばれる翼の形をした剥片を量産する技術へつながっていく。



上左。勢野峯ノ阪遺跡下層石器群。/上右。2万年前の石器。香芝市二上山北麓遺跡群。



シガゾウ牙。河合町穴闇。



上左。約2万年前の日本列島と動物群。ナイフ形石器の地域相。/上右。瀬戸内技法による石器。


	約2万年前には、材料となる石(石核)の形を割り整え、形の定まった石のかけら(剥片)を連続して作る技術が発達し
	て、瀬戸内技法が確立された。石核の加工から、ナイフ形石器の製作までを一連に進行させる、世界に例を見ないナイフ
	形石器の量産技術である。


 

	
	二上山の火山活動でできた火山岩に、サヌカイトと呼ばれる安山岩の一種がある。黒いガラスのようなこの石は、石器作
	りに最適であった。旧石器人は、サヌカイトの岩盤にむけて穴を掘ったり、礫となって流出したサヌカイトの堆積層を掘
	削して原石を入手した。二上山北麓には、無尽蔵のサヌカイトに腕をふるった旧石器人の石器製作遺跡が集中している。

 



土偶の集合。橿原遺跡。
	
	豊饒な大地に恵まれた人々は、自然に宿る神に祈るためさまざまな祭器を作り出した。女性を形どる土偶は、裸体のもの
	や入れ墨・衣服を表現したもの、消化器官とみえる管が体部を貫通しているものがあるが、いずれも打ち壊された状態で
	出土する。石を加工して作られる祭器には、何を象徴したものか不明な御物石器や石冠、性器をシンボル化した石棒など
	がある。





上中央石器は御物石器。奈良市大森町。



石棒。上左、下左から天理市布留遺跡、竹内遺跡。上右、上から兎田野町岩崎遺跡、橿原遺跡。



 

	
	<家屋文鏡>

	奈良県の佐味田宝塚古墳〔国指定史跡〕から出土し、4つの家屋の図が描かれている鏡なので家屋文鏡と呼ばれている。
	佐味田宝塚古墳は町内最古の前方後円墳で、4世紀後半に造られたと推測される。馬見丘陵の中央部に位置する尾根上に
	造られ、全長112m。周囲には濠がなく、墳丘には鰭付(ひれつき)円筒埴輪が巡らされている。明治14年に「神人
	車馬獣画像鏡」や「家屋文鏡」などの36面もの銅鏡をはじめとして、約140点もの副葬品が出土したことで全国的に
	注目された。なかでも、鏡背面に4棟の建物(竪穴式住居、高床倉庫、高殿、平地式建物)をあしらった「家屋文鏡」は
	有名である。発掘調査では、柱の穴や掘られた跡しか残っていないので具体的な外観を知る方法は限られていた。この資
	料は、埴輪では知ることのできない細かい部分まで描写されており、当時の家屋の様子を知る重要な資料となっている。




 

	
	4世紀の王権を象徴するのは、古墳の憤丘と埴輪、埋葬のための長大な竪穴式石室、そして死者にそえられた鏡や各種の
	石製品と、鉄製の武器・武具・農工具などである。憤丘の形は、前方後円墳のほかに前方後方憤・円墳・方墳があるが、
	主要な古墳は大半が前方後円墳である。これらの憤丘の形・大きさ、またはそのつくられた位置から、政治的な意味を読
	み取ることができる。

 

 





 







 

上左、車輪石。上彌後、鍬形石。いずれも川西町島の山古墳。

 









 











 

 

 

 



 

藤の木古墳から出土の飾り太刀の復元品(上左)。と、龍文飾り金具(上右)。

 

 

 

 

 

 

 



 

 





 



 

 






神武天皇陵



	私はもう何度か来たが、まだ行ったことのないという人がいたので、「そりゃ、いかん。わが国初代天皇の墓にいかない
	のは、歴史マニアとしてはまだ駆け出しでっせ!」ということで、ここにも寄ってみることになった。橿考研から歩いて
	5,6分である。



 

 


















反省会・西大寺にて



	皆さん、これが目的で集まってくるのではないかと思える反省会。昔、西本さんは、歩いている最中から「ああ早く反省
	したい。」なんて言ってたしなぁ。今日は西大寺で降りて一献。







 

松ちゃん、酔ってゴキゲン。


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