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新装開店「尖石縄文考古館」
2001.1.18再訪 長野県茅野市




	「尖石遺跡」を前回訪問した時この資料館は改装中だった。近くの「八ケ岳総合博物館」に間借りして遺物を展示していた
	が、今回は新装なった雪の「考古館」を訪ねた。近隣の遺跡から発掘された縄文土器だらけである。国宝の「縄文ビーナス」
	はみれなかったが、すばらしい土器だらけだ。全くもって縄文人たちのエネルギーには感心する。

 

 

 






国宝「縄文のビーナス」は特別ケースに置かれていて他の土偶とは離されているが、
今回もまた実物にはお目にかかれなかった。下の画像をクリック。







	この考古館のすぐ前にある「尖石遺跡」は八ケ岳山麓1,070mの台地にあって、縄文時代中期の代表的な遺跡である。昭和5
	年から発掘調査が行われ、多くの遺物とともに90軒近い住居址が発見された。当時の縄文時代の住居研究の上で、学術的に
	価値が高く、「特別史跡」に指定された。その後の調査も含めて、現在まで184軒の住居址が発見されている。
	考古館のすぐ裏手にある「与助尾根遺跡」は縄文集落研究の拠点として知られ、今回の考古館新装に合わせて、6軒の掘建
	住居が新たに復元され史跡公園として整備されている。





 


	「尖石縄文考古館」には、我が国で初めて縄文時代の遺物が国宝となった、「縄文のビーナス」と名付けられた土偶を初め
	として、茅野市内の遺跡から出土した遺物約2,000点が展示されている。展示物を眺めていると、中部高地における縄文文化
	の素晴らしさと、「縄文王国」とでも呼べそうなこの地方一帯の繁栄の姿が彷彿としてくる。

 

下は棚畑遺跡出土の土偶(頭部)。縄文中期。




 



尖石遺跡出土の深鉢(上下とも)。



 



 



 

 



 

 


	考古学という学問の目的は一体なんだろう。人文系の学問として歴史学や文学と一緒に、大学では多くが「文学部」に属し
	ているし、まず「理科系」の学問ではないと誰もが思っている。しかし最近の研究方法や分析の手法等を考えると、明らか
	に自然科学系の知識を駆使しなければならない部分も多い。人文系の学問のなかでは、一番、自然科学的な「客観性」を計
	測しやすい分野であると言えよう。

 


	確かに、「物証」があるために歴史学とは違ってある程度の「客観性」が要求される。年代や産地の割り出しなどは「勘」
	ではできない。では完全に自然科学の学問なのかと言うとそれも難しい。なぜなら、考古学の最終の研究対象は「遺物」の
	発掘や分析ではなく、「人間」だからである。

	考古学の目的は、歴史学や文学と同じく「人間とは何か」を追求する事なのだ。過去多くの先人達がこの命題に挑み、今後
	も多くの真摯な学徒達が、この命題に向かっての探求に一生を捧げる事だろうと思う。

 

 




	これら縄文人達の営みの跡を見ていると、ほんとに「人間」について考えさせられる。
	人はなぜ生きているのか。ただ生まれてきたからではなく、生活を豊かにし、物的な物を超えた精神性に光明を見いだし、
	よりよい環境へ移り住みながら、未来永劫の子孫繁栄を願う。 一体、「人間とは何か」?



 

 

 






展示室の隅に「体験コーナーがあり、参加者の作成した土偶や土器が棚に陳列されていた。



 

 

 

 

 






資料館の入り口にパネルがあって、最近発掘された「仮面土偶」の発掘模様の写真が掲示してあった。







茅野中ッ原遺跡の「仮面土偶」 きょう現地で一般公開
 茅野市教育委員会は三十日午後一時から三時まで、同市山口の中ッ原遺跡で、出土した大型仮面土偶を一般公開する。土偶は体の前面と右側面を露出しながら身を土の中に横たえた状態で、市教委は「現物の出土状況を一般の人たちに見てもらう最初で最後の機会になる」としている。 顔に仮面を付けた特徴的な出土品で、縄文時代後期前半(約四千年前)の土偶。右足が土の圧力などで胴体から離れているが、頭や手足がそろう完全な形をしている。高さは約三十五センチで、同種の土偶としては国内最大級。研究者からは「国宝クラスの価値がある」との声が上がっている。
 新聞やテレビで全国的に大きく取り上げられたため、市文化財課や尖石縄文考古館には、県内外から遺跡の場所や道順を尋ねる問い合わせが殺到しており、市教委は相当の人出を予想している。茅野北部中学と花蒔運動公園の二カ所を駐車場として確保したものの、「来場者に比べて少ない」とし、公共交通機関(バスなど)での来場を呼び掛けている。遺跡の場所はビーナスライン沿いのバス停「花蒔公園入り口」の南側。

長野日報(2000年8月30日掲載)











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