前述したように、この古墳からの出土物はすべて「東京国立博物館」に収蔵されている。ここにあるレプリカの本物はすべて同博物館 の表慶館(平成10年以降は平成館)で実見する事ができる。 東京へ行くことがあったら、是非訪ねていただきたい。象嵌太刀などは、自分の目で見た印象が、それまで本や写真で知っていたもの と大きく変わるのを感じる。 一般に、古代の遺物というものはそれが何か知らないで見ればただのゴミである場合が多い。土器や木片などは特にそうである。しか し、それが何年前のどこの遺跡から出たもので、どんな意味を持っているかという事をあらかじめ知っていると、ゴミが光り輝き出す のである。 上野で、「あぁ、これがあの古墳から出た耳飾りか。」「これがあの象嵌太刀か。」と思って見ていくと、熊本の山中に居を構えた豪 族達が、遠く大陸と交流を持っていた遙かな古代が目の前に広がって行くのである。