ライン

		おいしい朝食を腹いっぱい食べて、8時半頃エジンバラを出発。
		朝食の時食堂で、名古屋から来た日本人の団体客に会う。我々は中年の夫婦と相席になり、しばらく談笑する。
		名古屋から札幌へ飛んで、アムステルダム経由で昨夜遅くこのホテルへ着いたとの事。
		15人のツアーだそうだ。我々より一寸だけ上の年代のようだった。
		大英博物館の話になって、旦那の方が一度カイロへ行った事がある、という話になった。
		カイロの博物館にあるエジプトの遺跡は大英博物館の比ではないそうだ。「とにかくバカでかいですよ。」と言っていた。
		そうなのか。一度行ってみたいもんだ。
 

		今日は湖水地方を目指す。エジンバラを一路南下する。Pentland hills Regional Parkの脇の道を行く。
		実にすばらしい風景だ。羊が草をはみ、カラスが牧草原に群れている。
		うさぎが沢山撥ねられて道路で死んでいる。道ばたにひょこひょこ顔を出すので、あれでは撥ねられるだろうなという気がする。


		途中何度か車を止めて写真を撮る。給油しスタンドでおやつ等を買う。
		自分で給油するシステムはなかなかおもしろい。A701からM74・M6に入りPenrithへ。
		そこから西へ真っ直ぐ行くとKeswickだ。ここから一般道を南下して、いよいよ湖水地方へ入る。

		嫁藩が行きたがっている場所は、グラスミア、ウインダミア、ニアソーリーだったが、なんとか全部行く事ができた。


 

		12時頃ウインダミアに着き、Informationで宿を予約する。
		駐車場が無かったので、嫁藩は湖の周りをぐるりと廻って、私が予約し終わるのを待っていた。
		ガイドブックに載っている、リンデスフェル・カントリー・ホテルという所を予約する。
		駐車場を見つけて駐車してきた嫁藩を待って、湖岸のテラスで昼食。カレーのような、焼き飯のようなライスとサンドイッチ。


		ホテルの予約も済んだので安心して、ピーターラビットの産みの親、ビアトリックス・ポターが住んでいたという
		ニアソーリー村を訪ねる。全くあの絵本そのままのような風景だ。
		それも道理、ポターは自分の家・家の廻りの光景をそのままピーターラビットの村にしたのである。
		似ていて当然。それにしても全く英国的風景。ポターの住居を見学して庭を散策していると、
		ドヤドヤと日本人のグループが3組ばかり続けて入ってきた。
		「今日は日本人デーか?」とSHOPのおばちゃんに聞いたら、
		「Every Day! All Japanese Day!」と笑って答えた。恐るべし、日本人ツアー!



		土産物もピーターラビット一色。それにしてもポターの絵のうまいのには驚いた。
		いろんな絵を描いている。あまりうまいので絵画集を一冊買ってしまった。
		北海道の舞にピーターラビットの本を買い、他にも嫁藩はいろいろと買い込んでいる。


		ツアー客の行かない、付近の田舎道をブラブラと散策してみる。
		レンガや石を積み上げた柵や家だらけで、まさしくピーターラビットの村だ。
 

		ニアソーリーを出てグラスミアへ向かう。ここはワーズワースの生まれ故郷(?)で墓地がある。
		奥さんや妹たちと静かに眠っている。英国の生んだ偉大な詩人は、私の生まれるちょうど100年前(1850)に死んでいた。
 

		ここは一大土産物屋街と化している。ドイツやロシアや日本の団体客がドヤドヤ訪れて、国際交流の場のようになっている。
		しかし、交流している様子はない。
		日本人のオバさん達が4,5人集まって「100ペンスが1ポンドでしょう?」とか言っているのを聞くと興ざめしてしまう。

		しかしこうやって、いわば世界の反対側まで旅行に来れるというのは、日本もいい社会になったと言う事だろうか。
		しかしながら、マナーや社会習慣はまだまだ未開発国と同じだ。

		英国人はある部分日本人とよく似ていると思うが、社会的な義務感や公共性にたいする考え方は、
		日本人よりはるかに大人である。市民社会についての歴史が違うから
		(日本人はほんのこの前まで真の意味での市民はいなかった。殆ど全てが土着農民だったのだ。)
		無理もないと思うが、早く一人前の大人にならなければ、国際社会でいつまでも
		「変わった子供」のままで終わってしまうだろう。





		5時過ぎに今夜の宿、リンデスフェル・カントリー・ホテルに着く。
		丘の上にあり、ウインダミア湖が眼下に見える素晴らしい所だ。天蓋(てんがい)付きダブルベッドの
		メチヤ広い部屋ですこぶるきれい。
		フリルの着いたカーテンの窓の向こうに芝生のクリケット場があり、その先に湖が見えている。
		男の目から見たら一寸メルヘンチック過ぎないかと思うが、女性なら泣いて喜びそうな部屋である。
		後で聞いたらこのホテルで一番いい部屋だった。嫁藩も感激しまくっている。


		7時半〜8時半が夕食。ベッドに寝ころんでウトウトしていたら1時間ほど寝込んでしまっていた。
		ロビーへ行くと老年の日本人夫婦がいて食前酒をオーダーしていた。
		旦那に比べ女性が若そうだったので、最初はパトロンと愛人の人目を忍ぶ英国旅行かと思ったら、
		ちゃんとした夫婦だった。奥さんもよく見るとさほど若くもなかった。
		話を聞くと、旦那は70才で息子夫婦が英国に駐在しており、イギリスは4回目だとか言っていた。
 


		驚いたことに、食堂に集まった6組の泊まり客のうち4組が日本人。
		女性の2人連れと、我々と同世代位の中年夫婦。この夫婦は食事中も全く会話がなかった。
		旦那のほうはキチンとネクタイを締めていたが、英語もあまり喋らず、食事が済むとさっさと部屋へ引き上げてしまった。
		おかしな夫婦だ。

		老夫婦と、ロビーでコーヒーを飲みながらしばらく歓談する。このホテルに3日間滞在すると言う。
		元々関西の出身で、東京へ行ってもう20年になると言っていた。どこかの偉いさんのような感じだった。

 

		食事の後、ホテルの周りをうろうろする。10時なのに全く明るい。考えるだに不思議だ。

ライン
TOPへ戻る