1998年の1月、近所の公民館で事務を手伝っている嫁はんから、「今度公民館で男の料理教室をやるから参加しない?」とお誘いが あった。正直なところ、「かったるいなぁ、めんどくせぇ。」と思ったけれど、日頃ご迷惑ばかりかけている当方としてはむげに断 るわけにもいかず、「そうやねぇ、フーン、おもろいかなぁ」などと曖昧に返事していたら、当日になって「今日料理教室よ。10 時に来てね。」と言われて「アリャリャ、やっぱり参加せんならんのか」とバタバタ参加した。「どっかのシェフが講師に来るって。」 と聞いていたが、まさか帝国ホテルのチーフ・シェフとは考えもしなかった。渡辺さん。もの静かな語り口の、やさしそうな人だっ た。生徒は近所のオッサンばかり。中には同じマンションの顔なじみもいた。本日のレシピは、海の幸のサラダとサーモン・ステー キ。参加費1,500円也。
しぶしぶ行った教室だったがわりと面白かった。カレーしか作れないわたくしとしては、なるほど、なるほど、こうすればいいのか と結構学ぶべき所があった。レシピに忠実につくれば割と簡単にできるものだという事も知った。しかし、これを毎日毎日、家族の ために作らねばならないとなると、とても自分には主婦はつとまりそうもない。 近頃 男の料理 がはやっているが、私に言われれば所詮道楽だ。毎日家事としてやらねばならないとなると、とても絶えられない。 誰かが作ったものを食べるほうが楽だ。奥様、嫁はん、山の神、ありがたや、ありがたや。 渡辺先生は、我々が試食している最中に、新幹線の時間があるからとそそくさと東京へお帰りになった。ありがとうございました。