Music: across the universe
嫁半が阪急トラピックスの格安ツアーを探してきた。大阪から新幹線で小倉へ
行き、ここからバスで山口県の下関・福岡県の門司・大分県の宇佐・別府・臼
杵・湯布院と廻って、一泊二日で20、000円。宿泊はダイワハウス系列の
「別府ロイヤルホテル」。新幹線料金だけでも往復2万円以上は掛かるのに、
この料金はなんなんだ!
二日目は自由行動で、optionとして「臼杵の石仏めぐり」を選んで5,000
円追加だけれども、それにしても安い。このツアーはもう数年間行われている
そうで、毎回ものすごい参加者数だそうだ。さもありなん、という気がする。
この日もバス3台を連ねてのツアーで、案内する地元九州のバス会社のガイド
さんは、「今年、私はこの案内で40回目です。」と言っていた。下関でフグ
を食べ、別府温泉に泊まって、臼杵・湯布院を見て歩く、と言うので、毎年参
加するリピーターさんもいるという。
朝早い出発なのに、その前夜、西中島南方で呑んだとき、博多の郷土料理屋が
あったので写真に撮った。ここで食べたのかどうかの記憶が無い。恐ろしい!
このツアーが格安で成り立っているのは、おそらくスケジュールにあるように、各地の土産物SHOPからのリベートだろうと思う。
この手のツアーがSHOPに寄るのは当たり前だが、このツアーは特に凄かった。とにかく土産物屋に寄るのである。帰りは湯布院
から帰るので、そのまま小倉へ行って新幹線に乗ればいいようなものだが、わざわざ大分高速道にのって九州北部を横断して博
多まで行き、嫁半の実家の近くの、博多の観光会館に寄って、それから小倉までバスで帰るのだ。それでツアーが成り立つのだ
ろうと思われる。しかし安いのだから、それくらいは辛抱して、また来ようと言う気になるのだろうな。
朝早く新大阪に集合して、添乗員から指定された座席に座ってウツラウツラ。定時に小倉駅到着。新幹線が小倉駅に着くと、バ
タバタとバスに乗り込み下関へ引き返す。下関へ入ると一番に蒲鉾屋さんに寄る。ノッケから、カマボコや海産物を山ほど買い
込んでいるオジサン、オバサンがいる。2日間、あれを持ったまま移動するのかと思ったら、バスにちゃんと冷蔵庫があった。
帰るまで保管しといてくれるのだ。さすがだね。
湯布院から久住山群に繋がる山塊の、入口にあたる所に聳える万年(はね)山。聳えるという表現がおかしいほど、だよーんと
した山頂が拡がっている。その姿から「軍艦山」とも呼ばれる。大学入学後、ワンダーフォーゲル部に入部して初めて参加した
山行がこの久住山行強化合宿で、初日にこの万年山に登った。まったく山登りの練習もしたことのない高校生に毛の生えたよう
なモヤシ青年にとって、この山登りはきつかった。というより、地獄のような苦しみだった。
強化合宿なので、普通の荷物の他に、コンクリート・ブロックや水満タンのポリタンクなどを20kgになるまでザックに詰め
られて、「さぁ歩け、歩け」と後ろから蹴られて、息も絶え絶えにあの山に登ったものだ。
それから1年間のトレーニングのおかげで、モヤシのようだった僕の体は、実家の父も驚くほどの筋骨隆々ボディーになった。
腹筋もドドーンと三段付いていて、我ながら逞しい体だったのだが、その後の40年の歳月は、「痩せた狼」を「太った豚」に
変えてしまった。
宇佐神宮から別府をめざす。車窓に湯煙が見えだした頃、今夜の宿である別府・日出温泉の「別府湾ロイヤルホテル」に到着。
部屋の窓から見える別府湾。夕食は「豊後和食懐石」で旨かった。温泉も露天風呂が雄大で最高。このホテルはどの部屋からも
別府湾が見えるように作ってあるそうだ。この部屋にこの料理で、しかも新幹線で大阪から往復して、optionの臼杵めぐりを追
加しても25,000円である。こりゃリピーターが多いというのもうなずける。帰宅してホテルのHPを見たら、
1泊夕朝食付 大人お一人様13,200円〜19,550円
※ご夕食は日本料理・フランス料理・中国料理からご選択いただけます。 とあった。
下は夜が明けた別府湾を、部屋の同じアングルから見たところ。下左に見えているのは結婚式に使われるチャペルの屋根。
別府湾は波一つ無く穏やかだ。中央に見えている山は、猿で有名な高崎山である。
館内の至る所から別府湾の広大な海景色を一望できる。
Optionツア−に参加しない人達をホテルに残して、バスは臼杵の城下町へ。昼食後、また彼等を拾いにこのホテルへ戻って来た。
臼杵ツアーからホテルへ戻り、残りのツアー客を拾ってバスは湯布院をめざす。
菜の花や、春の花々が咲き乱れていた。こういうのを見ると、大阪よりもこっちの方が暖かいんだなぁと実感する。
トイレ休憩(買い物?)に寄った、物産センターにて。上左に城が見えているが、これは観光用に作った物だそうだ。
時間があったら「くじらカツ定食」食いたかったなぁ。「関アジ・関サバ」でもいい、本場だし。
湯布院に入る直前に「明礬温泉」による。有名な入浴剤「湯ノ花」の製造元である。
「湯の花」ホームページより転載
薬用入浴剤「湯の花」は、明礬温泉の活発な噴気を利用して作られる天然の入浴剤です。明礬(みょうばん)温泉ではこの湯の花を
江戸時代から今まで約 280年もの間、変わらぬ製法でずっと生産し続けています。湯の花小屋で生産されるこの製法は世界唯一のも
ので、平成 18年3月、国の重要無形民俗文化財に指定されました。湯の花を自宅の湯船に入れるだけで「即席明礬温泉」の出来上が
り。いつでも気軽に明礬温泉をお楽しみいただけます。 ※湯の花小屋の見学は無料です。(8:00〜17:00)
天然入浴剤 湯の花と露天風呂の効能
水虫・あせも・神経痛・リウマチ・痔疾・腰痛・冷え症・肩こり・ただれ・いんきん・しっしん・しもやけ・たむし・くじき・かい
せん
明礬温泉地区は相当な地熱地帯で、地下30cmあたりにはもう温泉脈があり、地表から勢いよく温泉ガスの蒸気が噴出しています。こ
こに約50棟立つわら葺き屋根の小屋、これが湯の花を江戸時代よりつくり続ける湯の花小屋なのです。世界唯一のこの小屋方式から
生まれる明礬温泉地区ならではの湯の花は、他生産の硫黄華とは根本的に品質が異なり、この製法も世界ではここだけ。
では、この湯の花、一体どうやって出来るのでしょう。まず、湯の花をつくる小屋作りは噴気の多い場所が選ばれます。温泉ガスが
均等に小屋内で噴出できるよう栗石で石畳みを作り、この地特有の青粘土(学名モンモリロナイト)を敷き詰め、その上に三角屋根
のわら葺き小屋を建設します。
地下のガスの蒸気が栗石のすき間から青粘土の中に入り、ガス中の成分と青粘土の成分が結晶。この結晶が湯の花で、1日約1ミリ
ずつ成長し、40〜60日かけて採取、精製、乾燥して製品化されます。
縄文時代の住居のようにも見える湯の花小屋は、雨降りでも小屋の内部の温度を一定に保ち、雨漏りはせず、蒸気中の水分をわら屋
根が水滴とならず屋外へと放出させます。しかし、職人が苦労して作った小屋も、蒸気の作用で寿命は長くて3年。そのたびに葺き
替えます。昔の人々の深い経験と知恵から生まれた湯の花小屋は、江戸時代の”近代的化学工場“と言えるでしょう。
別府一の高台にある明礬湯の里には、標高 350m、絶景の大露天岩風呂と藁葺きの湯の花小屋を再現した家族湯があります。泉質は
単純酸性・硫黄泉でその効能は幅広く、疲労回復、皮膚病など湯治効果が高い温泉として、県内外を問わず多くの人々に親しまれて
います。
湯布院の街
湯布院には、実はワンゲル時代の先輩がいる。私が入学したとき4年生だったから3歳年上の新野(にいの)さんである。定年に
なって、3年前に福岡から奥さんと湯布院へ移ってきた。亡くなった伯母さんが湯布院に住んでいて、亡くなったのを機にその家
を買い取って湯布院に住み着いている。ツアーなので連絡はしなかったが、もし会えればいいなと思っていた。WIFEもワンゲルな
ので、もちろん新野さんを知っている。
しかし、事前に連絡も調査もしてこなかったので、「湯布院で骨董屋をやっている。」という情報しか無かった。集合時間を確認
して自由行動になった後、湯布院の地図を頼りに「骨董屋さん」を探したが、地図にあった骨董屋さんは閉店していたし、その他
には骨董屋や古物商は地図には無かった。大きな料理店の中にそれらしき所があったが、どうも先輩の店とは違うようだ。
「連絡しなかったしなぁ。」「住所だけでも調べてくれば良かったね。」といいながら、湯布院の町を一廻りする事にした。
由布岳を見ながら金鱗湖へ歩く。
金鱗湖をめぐってバスの駐車場へ戻ろうと歩いていると、小さな路地へ入っていく入口に、「骨董・古美術 和」という看板があ
った。「あ、もしかしてこれじゃないか。確か新野さんの名前は和(かず)何とかやったで。」「ほんま?」
路地を入って行くと小さな広場があって、喫茶店と並んで骨董店があり、その店先に大きなオジサンがいた。「あ、新野さんだ」
「新野さん!」声を掛けると、最初びくっとした顔をした新野さんはすぐに気づいて、「おう、どうしたん?」
ツアーで来ているのであまり時間が無いことを話したが、「まぁ、折角来たんだからお茶でも飲んでけや。」と隣の喫茶店からコ
ーヒーを取ってくれた。聞けばこの喫茶店のマスターとは高校時代の友人で、彼が先に博多からこの湯布院へ移住して来たんだそ
うだ。その店の隣を借りて骨董店を始めたそうだ。
学生時代から一回り大きな体格だった新野さんは、卒業してすぐ福岡県警に入った。最初機動隊に配属されていたが、そのうち県
警本部へ移って、3年前めでたくリタイヤとなった。奥さん、喫茶店のマスターにも紹介して貰い、慌ただしく近況や家族の話な
どをして短い訪問時間は終わった。
「今度はツアーじゃなく、ゆっくり二人で訪ねて来いや。家の温泉に入れたるから。」という。「温泉?」「家の中に?」
なんと、登録して家の中に温泉を引いているのだという。デカい檜の風呂に、温泉の湯が常時流しっぱなしで、いつでも家の中で
温泉に入れると言う、なんと羨ましい。自宅はここでなく由布院駅の近くらしい。慌ただしい訪問の無礼を詫びて、骨董店を後に
した。
由布岳をバックに、老いた小林旭? いや加山雄三かな? どこが! と嫁半。
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