Music: ああ、新撰組

歴史倶楽部第139回例会 2009.1.25

不動堂村から西本願寺へ





	京都駅から西へ歩くこと数分で「堀川通り」にぶちあたる。このあたり一帯が昔の不動堂村である。ここに三番目の新撰組屯所が
	あった。






	■不動堂村屯所跡 
	慶応3年6月15日、新選組は壬生から西本願寺へ移った屯所を、さらに不動堂村に移す。境内で大砲をぶっ放したりする新選組を
	立ち退かせたい西本願寺が、全額費用を負担して建てた豪勢な屯所だった。広大な敷地を持ち、剣道場や大広間、30人が同時に入
	れる大浴場まであった。大名屋敷と変わらない立派な普請だったが、新選組は、半年後の12月16日には更に伏見奉行所に転居す
	ることになる。不動堂村とは、付近に不動尊があったからだが、屯所跡は現在リーガロイヤル京都ホテルの敷地となっている。





「堀川通り」を少し戻り、油小路へ入ってこの道を北上すると本光寺、油小路決闘地がある。






	■本光寺 & 油小路の変跡(油小路決闘地) 
	慶応3年11月18日、新選組と別れ「高台寺党(御陵衛士)」を組織した伊東甲子太郎(かしたろう)を暗殺した新選組は、七条
	油小路にその遺体を放置し、引取りに来た高台寺党と凄惨な激闘を展開した。この時、藤堂兵助、服部武雄、毛内有之助の3人が絶
	命した。伊東ら4名の遺骸は、光縁寺に葬られたが、慶応4年3月に、篠原泰之進らにより泉涌寺塔頭戒光寺に改装された。伊東甲
	子太郎が絶命した本光寺には伊東らの殉難の碑がある。





伊東甲子太郎は斬りつけられてこの「南無妙法蓮華経」と刻まれた石柱に寄りかかって絶命した。




	本光寺向かいの床屋のおじさんが色々と説明してくれる。木戸から入って中の石柱も見せてくれたし、住職である尼さんから説明書
	を貰って来てくれた(50円)。かっては、おじさんの後ろ辺りに本光寺の門はあったらしい。従って伊東甲子太郎は、本光寺の門
	前で絶命したことになる。



以下は本光寺で貰った50円の説明書。













	油小路というだけあって、かってはこの通りに油屋が並んでいたようだが、いまはこの1軒だけのようだった。ここから2,30m
	先に天満屋事件碑があった。

	■天満屋騒動跡(中井庄五郎殉難の地碑) 
	慶応3年(1867年)12月7日、天満屋で酒宴を開いていた紀州藩士・三浦休太郎らを、海援隊の陸奥宗光、十津川郷士・中井庄
	五郎らが襲撃した事件を「天満屋騒動」と言う。襲撃の理由は、坂本龍馬ら海援隊の船「いろは丸」と紀州藩の「明光丸」が起こ
	した海難事故で、紀州藩が7万両の賠償金を支払う事になった。この沙汰に不満を持った三浦が、一月前の11月、坂本龍馬暗殺
	を仕組んだという噂が流れていた。陸奥宗光は、龍馬暗殺後、三浦休太郎を暗殺の黒幕と思い込み、海援隊の同志15人と共に彼
	の滞在する天満屋を襲撃したのである。三浦も陸奥らの動きを事前に察知し、新選組に警護を依頼していた。天満屋で双方入り乱
	れての乱闘となり、襲撃側の中井庄五郎と、近藤勇の親戚であった新選組の宮川信吉が死亡した。


	殉難の地碑は、小さな祠の脇に立っていて、注意して探さなければわからないほど目立たない。

	陸奥宗光はもともと紀州藩士ながら、安政5年(1858年)、江戸に出て安井息軒、水本成美に学び、土佐の坂本龍馬、長州の桂小
	五郎(木戸孝允)、伊藤俊輔(伊藤博文)などの志士と交友を持つようになる。文久3年(1863年)、勝海舟の神戸海軍操練所に
	入り、慶応3年には坂本龍馬の海援隊に加わるなど始終坂本と行動をともにした。三浦は後に東京府知事となり、陸奥宗光は外務
	大臣として不平等条約の改正(条約改正)に辣腕を振るった。





油小路を北上すると、3,4分で左側の堀川通りに西本願寺が見えてくる。ここの北隅に新撰組の「西本願寺屯所」があった。






	■西本願寺屯所跡 
	西本願寺は、幕末には、末寺門徒の多い長州藩との関係から多くの勤皇僧を輩出した。禁門の変では長州藩士を僧に変装させ落ち
	延びさせたこともあり、親勤皇派と目されていた。幕府は元治2年(1865年)3月、新撰組の土方歳三と図って、強引に西本願寺
	北集会所に新選組屯所を置き、勤皇派の活動を抑制しようとした。境内で大砲の訓練や教練を行い、豚肉を料理する臭いなどで、
	寺側は大変迷惑したようである。それが冒頭の「不動堂村屯所」への移転に繋がっている。新選組が使用した北集会所は、現在姫
	路市亀山の本徳寺に移築されている。





せっかくだから西本願寺にもお参りしてゆく。福岡県の私の実家が檀家になっている「浄覚寺」はここの末寺である。









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