己高閣と世代閣(ここうかく・よしろかく) 平安から鎌倉時代にかけて、山岳信仰の霊場として隆盛を極めた己高山(こだかみやま/ここうさん)。かつて山上には数多く の寺社が存在したが、時代の推移とともに次々と無住あるいは廃寺となってしまった。それらの寺に残された、膨大かつ貴重な 寺宝を安置するため、昭和38年(1963)に己高閣、平成元年(1989)に世代閣が文化財収納庫として建設された。己高閣は、 滋賀県最初の文化財収蔵庫である。己高閣には鶏足寺など己高山諸寺の寺宝、世代閣には戸岩寺の寺宝を主に収蔵してある。 97躯の仏像を初めとして、古橋古墳からの出土品や浅井長政の奉納屏風、多くの仏像仏画や古文書類が収納されている。その 中には、鶏足寺(けいそくじ)の本尊であった十一面観音立像、法華寺の薬師如来立像・乾漆十二神将(じゅうにしんしょう) 立像といった国指定の重要文化財や、県の重要文化財も多数含まれている。世代閣には、戸岩寺本尊薬師如来立像や十二神将像 など5体の重要文化財を収蔵。紅葉の名所としても人気がある。
上の額に書いてある字はどうも「鶏」ではないようだった。橋本さんによると「雉」(きじ)という字だそうである。とすると、 鶏足寺(けいそくじ)の鶏は昔は雉だったのか。鶏とは関係ないんだ。ただ音韻で選んだだけかもしれない。 上右の石塔が「石田三成の母」の墓に立っていた石塔だという。もともと山腹にあったが、石塔の一番上の部分が盗まれたので ここへ降ろしてきて、別のものを乗せてあるそうだ。そういえば色合いが違う。 最近の新聞に、仏像が一番盗まれる県は滋賀県だという記事があったが、まったく嘆かわしい事である。仏像を盗むなどという 輩は縛り首にしてしまえ、と思う。最近の日本人は「罰(ばち)が当たる」という言葉を忘れてしまっている。絶対地獄行きだ。
2つの収蔵庫だが、建っている場所も抜群にいい。近くには畑や田んぼが広がり、遠くにはなだらかな山々。彼岸花やコスモス もたくさん咲いていて、実にいい雰囲気だ。雨が降っていなければ、のどかな里の秋を楽しめただろうに残念だ。 この一帯は「まほろばの里」とよばれていて、紅葉の時期は木々が美しく染まって錦の織物を広げたかのようになるそうだ。 近江の国の東北に位置する鬼門であったため、奈良時代、修験道の祖といわれる役小角(えんのおづぬ:役行者)や民衆のため に様々な社会事業を行なった行基が草堂を建てて修験場として開いたことで、山岳信仰の霊場として信仰を集めた己高山。その 己高山は、ちょうどこの世代閣の裏側あたりになる。
これだけの仏像が一堂に並んでいるというのは圧巻である。京都奈良のお寺も凄いかも知れないが、本当はここの方が凄いかも 知れない。当時の繁栄ぶりがしのばれる。