「昇鯉図」。胴体の半分が画面からはみ出している大胆なトリミングで、広重も真っ青。「龍図」や「亀図」も同じ手法で描く。鯉以外 には何も描かない。「昇鯉図」と名付けられているが、ただ跳ねているだけのようにも見える。年に一度くらい、私の勤務する大阪の中 之島で、淀川にこのように跳ね上がる鯉を見る事がある。 「鯉図」も、黒の濃淡がすばらしい。特に尾びれや鱗の描写は絶品である。