「大鶏雌雄図」。あえて、鶏だけを描いた絵で、すっと1本引いた土のラインがあるだけでかろうじて戸外と知れるものの、背景は何 も描かれていない。牡丹や芍薬や葡萄や、「余分なものは省いて描いてみました。」とでも言うよう絵である。見合う雄と雌の鶏二羽。 華やかな衣装をまとって誇らしげな雄鶏と、光沢のある黒一色の雌鶏のコケティッシュな姿振る舞い。恋の駆け引きのやりとりが、今 にも聞こえてきそうである。