この絵も動植綵絵の中で、私の好きな絵の一幅である。ジョウビタキと鳩ともう一羽(何かわからない)が上部の枝にとまり、下部では 鴛鴦(おしどり)のつがいが、雄は岩(雪?)の上に立ち雌は水に潜っている。雄の下には雪をかぶった山茶花の花が鮮やかで、触った らぽろっと落ちそうな雪の塊が木の枝につもる。 この絵は、「肌裏絵」と呼ばれる、絵の裏にも彩色した紙を貼る手法を用いているが、若沖はこの裏絵に肌色ではなく墨絵を使っている のだ。そのため絵の上半分は薄暗く、若沖が描いた類似の絵と比べたらずいぶん暗いイメージがあるが、冬の感じと枝の白さを際だたせ たかったのかもしれない。