パッと見、三羽の鶴がいるように見える。しかし足を見ると五羽の鶴がいて、よく見ると左右に一羽ずつ隠れている。一羽は顔が 見えないが、後の四羽はそれぞれ個性的な顔をしていて、特に左隅の鶴は「ヘヘヘッ」と笑っているようにも見える。梅の花は大 きく、殆ど現実の梅のサイズを逸脱している。梅や鶴は古来から日本画には良く取り上げられる画材だが、こんな描き方をした絵 は他に知らない。また大地に裂け目があるのは何だろう。若沖にはよくこういう画風があるが、この辺りに若沖の精神性が潜んで いるのかもしれない。