棕櫚(しゅろ)の木は、私が子供の頃の実家(福岡)にもあって、結構ポピュラーな木だったが最近はとんと見かけなくなった。 小学校に入る前のおぼろげな記憶では、雄鶏(おんどり)が棕櫚の下で遊ぶこんな光景は良く見ていたように思う。しかし現代、 この木のイメージとしては「南国」が強く、一見、この絵も沖縄か鹿児島かの南国情緒を醸し出している。全体的に黒っぽい色 調の中に白い雄鶏の姿が際だつ。 解説を見ると、「シュロの葉はこの絵に描かれているように見えない。葉の真ん中にある穴は、見た事ないはず。ない物をまる であるかのように描いている。」というのがあったが、それはほんものの棕櫚を見たことが無い人の科白である。私の故郷の棕 櫚はちゃんとこの絵のような葉の根本に穴が開いていた。若沖はちゃんと見て描いているのだ。