今にも地面にぶつからんとするような角度で飛んでくる雁。それにしても、地面に落ちてくるようなこんな構図で書かれた絵はあまり 見たことがない。この高度だと地面に激突するのではないかと心配してしまう。マシュマロのような若沖独特の雪の質感がいい。 地表は池の氷に亀裂が走っているのか、割れたようになっており、墜落してくる雁の顔はそれに驚いたような不安な顔つきに見えなく もない。絵全体に、何か強い緊張感がみなぎる不思議な絵である。