前頁「動植綵絵 南天雄鶏図」の部分。実に細かいところまで丹念に描かれているのがよくわかる。さまざまに新奇な試みがなされた 日本の18世紀の文芸や造形における最先端の芸術活動の中でも、若冲や曽我蕭白(そがしょうはく)の絵画は、常軌を逸するほどの 独特な表現であったということが見てとれる。高名な若沖の収集家であるジョー・プライス氏が若沖に光を当てるまで、日本人は若沖 たちの存在を知らなかったというのは、何か寂しい思いがする。