Music: 草原情歌
遥かなるシルクロード
国際バザール


天池から戻って8時頃「国際バザー」へ行く。wifeがどうしても行きたいという。広場の一画に巨大なモスクのような丸屋根を持
った塔がそびえ立っている。国際バザール」と銘打って行われている巨大な市場は、ウルムチ市街の一画を占有している。建物の
中は勿論、ビルとビルの谷間や通りにも天幕や屋根が葺かれて、一大商店街を造り出している。そしてここにも多種多様の民衆が
集まってきている。



「スリが多いですから荷物には気をつけて。」と董さんが言うので、背中にからっていたバッグを手に持ち帰る。店舗や屋台に
はあらゆるものが売っている。何だかわからないものもある。wifeの希望でここへ来たが、wifeの買うものはだいたい決まって
いる。香辛料とか木の実とか、だいたい食い物だ。後はアクセサリーの小物とか衣料品である。今回はガイドが娘と同じ年の女
の子なので、二人でああでもないこうでもないと店を放浪しながら、クルミなどを買い込んでいる。まるで母娘である。

こういう時旦那は全くカヤの外だ。しかしその方がいい。ガイドが女の子で良かった。歩いているうちに骨董屋も何軒かあったの
で、冷やかしてみると恐ろしい値札が付いていた。三日月刀や石仏像など持って帰れそうにないようなものから、古銭や玉(ぎょ
く)の量り売りのような小さなものまで雑多に並んでいる。驚く事に、レーニン像や旧ソビエト時代の貨幣などが売られている。
新彊ウイグル地区にはロシア民族も住んでいるのだが、それにしてもそのまま販売されているのには驚く。聞けばソビエト時代に
はそのままソビエト貨幣が流通していたそうだ。




町の看板はだいたどれも3行で書かれており、1行目がウイグル文字、2行目は漢字、そして3行目がアラビア文字のようなもの。
3つの言語で「床屋」とか「レストラン」と書かれているわけだ。中国はこれだけ広い国土でありながら、時間は北京時間一つだ
けを採用している。この辺りは北京で夜8,9時になっても明るいわけである。何故時差を採用しないのかという質問には、「一
斉蜂起するには時間を一つにしておいた方が都合がいいのだ。」という答えが返ってくるが、これは冗談なのか本気なのかよくわ
からない。バザールから帰ってきて、夜9時くらいにはなっているはずだが、やっと夕方になったかなと思うほどの明るさである。



我々と同じ顔をした漢人が、イラン人のような顔をした人と並んで歩いてくる。かと思えば黒装束に身を包んだモスリムの女性た
ちがその後ろを歩いてくるし、広場に座ってスイカやいちじくを食べている人たちの顔付きも千差万別だ。まさしく人種のるつぼ
である。こういう所でポツンと一人で置かれたとしたら、果たしてホテルまで帰ってこれるかどうか不安になる。

邪馬台国大研究 / 鳥魯木斉 / 国際バザール