Music: 草原情歌


遥かなるシルクロード

天池

















	ウルムチから100km先の天池を目指して北に進む。都会を離れてしばらくレンガ積みの家が続くが、やがてそれも姿
	を消して、日本人には懐かしい緑と小川の景色に変わる。天池から流れてくる川に沿って延々2時間ほど道は高度を上げ
	てゆく。右手には天山山脈の山々の白い頂が見える。「紅旗」は山間の道を快適に進む。道端には小川が流れ、草むらで
	は羊の群が草を食べている。川の水は天山山脈の雪解け水で、雄水と言われ男が飲むと体が丈夫になるという。やがて道
	端に白いテントがたくさん見られるようになった。放牧をしているカザフ族のパオで、主に夏の観光シーズンには、観光
	客相手の宿泊施設にして金を稼いでいる。秋になるとまた草原へ戻って冬を越すのだという。素泊まりで1泊200元
	(3000円)というからいい商売である。羊の群がしばしば道路を塞ぐ。カザフ族が羊を飼っているのだ。彼らは寒くな
	る前に暖かい地方へ移動していく。
















	ほどなくそれらのパオも見えなくなり、景色は山岳色に変わっていく。と思ったら天池への最終駐車場に着いた。ウルム
	チから約3時間ほどのドライブだった。ゲートのある駐車場でトイレ休憩をした後、さらに上にある駐車場に向かう。駐
	車場と言っても一般車両の駐車場という事で、ここから先は歩くか、路線バスか、ケーブルカーで行くのだ。我々か帰り
	をケーブルにして、行きはバスに乗る事にした。バスの運転手とガイドの女の子は、客がいるにもかかわらず、5分ほど
	の道のりの間中、大声で喋りまくっていた。周囲にはヒマラヤ杉の原生林が広がり、澄み切った青空に杉の葉の緑が映え
	て素晴らしい眺めだ。バスの駐車場で今度は電気自動車に乗り換えて、また5分ほどで天池の前に到着した。結構な人出
	である。透き通った青い湖の色は素晴らしく、日本の湖とはちょっと違う。奥には万年雪を抱いたボゴダ峰(海抜5445m)
	がそびえている。モンゴル語で聖なる山を意味するボゴダ峰の中腹に、天池はある。これらの天山山系の雪が、トルファ
	ンやウルムチなど、シルクロードのオアシスを潤しているのである。















観光客で一杯の湖畔


	行ったことは無いが「まるでスイスアルプスのような」と言うような形容がぴったりの天池だった。中国にはこんな所も
	あるのかと驚いた。絵に描いたような景色だが、中国に墨絵のような山しかないと思っていた私には新鮮だった。





天池とボゴダ峰



上をクリックすればワイドになります。



















上の写真で白い点は岩ではなくヒツジである。崖に張り付くようにして草をはんでいた。





さわやかな風が吹いて、中国大陸、ユーラシアのど真ん中にこんな所がと、しばし感動した。






	天池から流れる小川に沿って付近をハイキングする。小さな滝があって水しぶきが気持ちいい。1時間ほど散策した後、
	来た道を引き返す。途中で、ウイグルの衣装を貸して記念撮影をする人たちに出会ったが、もう店じまいにかかっていた。
















  
邪馬台国大研究 / 鳥魯木斉 / 天池